転職は自らの人生や家族の命を左右する重大な決定事項です。
退職は諸事情によりやむえない場合がありますが、転職は安易に決めてはいけません。
他人任せに安易に転職すれば同じことを何回も繰り返すことになります。
自分の足で探して、自分の頭で考えて、今まで培ってきた人脈やコネクションを駆使し、得意な仕事で経験を生かせる会社を探すのが王道です。
手間暇を掛けなければ、転職は成功しません
現代の転職の風潮には危機感を覚えます。
採用現場から見た転職エージェントの功罪
転職エージェントのお客様とは?
転職エージェントの顧客は採用企業であり、求職者は商品です。
転職エージェントは慈善事業ではありません。転職を斡旋した求職者の年収の3割程度を企業から得ています。
よって、商品価値のない求職者に時間や労力を掛けることはしません。
応募者が直接やり取りするキャリアアドバイサーは企業マニュアルに沿って動く営業社員です。対応の良し悪しは、転職エージェント会社における商品価値で決まります。
転職サイトが複数の転職エージェントを薦めるのは、会社によって得意分野が違い、商品価値が変わってくるからです。
高額な報酬が期待できる人材しか、相手にしないことを知っておかなければなりません。
転職エージェントの未公開求人とは?
転職エージェントでは優良企業の未公開求人がある?
転職エージェントが取り扱う未公開求人とは主に3つです
①新卒で辞めた社員の穴埋め
②ハイスペック人材 35歳以下の管理職及び技術者
③ブラック企業の求人
③は除外として、①、②は「良い人がいれば」のレベルで少人数の募集です。一般募集の要求よりハードルは高くなります。また、いつまでも募集を掛けている訳でもなく、タイミングは運と言えるでしょう。
企業が本気なら一般募集を掛けます。
転職サイトで一般募集を掛けるのなら、転職エージェント経由では採用しません。採用企業側は転職エージェントを利用すると2重のコストが掛かるからです。
転職エージェントの商品価値が高い人材とは?
製造業では
「20代もしくは、35歳以下のハイスペック人材」です
製造業では20代の転職は派遣会社の紹介派遣を使用することが多くなりました。転職エージェント経由では社員にしなければならず、ミスマッチがあった場合でも社員を簡単に辞めさせることはできません。紹介派遣は派遣会社との契約となるので、ミスマッチの際は契約終了で良いのです。
製造業でハイスペック人材とは「資格や技能をもった人、マネジメント経験がある人」で、大手メーカーの早期退職者は特に人気があります。これは転職エージェント経由が多いですね。
製造業では今は未曽有の人手不足です。
転職エージェントは、ハイクラス、ハイスペック人材を集めるしかありません。
このゾーンは求職者の5%ぐらいでしょうか。商品価値のあるハイスペックの人材を増やすには、母数を増やさなければなりません。
簡単登録だけでもと、あの手この手を絡ませてきます。
商品価値が低い人材はどこへ行くのか?
製造業では、【20代もしくは、35歳以下のハイスペック人材】以外は需要がありません。この枠から外れてしまうと①エージェントを断られる、②メールのみで放置、③慢性的な人手不足なのに一般募集を掛けられない会社=ブラック企業を紹介される可能性が高いです。
中途半端な人材の利用方法
転職エージェントに希望の職種とは異なった企業を紹介されて、面接に行かされことはないでしょうか?
これは販促に利用された可能性があります。
大企業ではグループ企業ごと、部署ごとにお抱えの転職エージェントは違います。
つまり、同じ会社でも縄張りがあり、営業エリアを拡大させるため、転職エージェントは応募にはない職種の人材を紹介してきます。
工場見学で案内したある求職者の話を聞くと、工程管理者を募集しているのに、システム管理の質問ばかりしてきます。
また、スキルシートに書いてある応募要項の”経験があるはず”の内容を聞いても「知識はあるが、実務経験に乏しい」等の答えが返ってきます。
「もしかして、SE希望なの?」
「はい・・すいません」
営業が「うちはSEもいますので、よろしくお願いします」と慌ててフォロー。
”ダメ元で紹介してOKならそれで良し、ダメなら別部署でどうでしょうか?”
転職エージェントが色々な可能性を試すのは否定しませんが、求職者が本当に納得した上で紹介しているのか疑問です。
求職者が意に反して転職できたところで活躍できません。入社後に心の病気になる人は「仕事が合わない」中途採用者が圧倒的に多いのです。
派遣会社は更に辛い。契約終了後に次の派遣先が決まっていないと、自宅待機か営業のカバン持ちをさせられます。飛び込み営業に同伴させられて、面接管でも何でもない窓口担当者に「私を使ってくださいと」と売り込みをさせられます。相手も「コイツは、いきなり何言ってるんだ」状態で困惑します。
また、派遣会社は抱き合わせ採用を強要する場合があります。「優秀な派遣社員を入れる代わりに、引き取り手のない35歳を過ぎた派遣社員を引き取ってほしい」と交渉してきます。お荷物派遣社員には現場教育を十分に行いません。核心部分の仕事もさせません。キャリヤアップできない状態で、安い賃金でこき使われて契約終了になると、若い営業社員のカバン持ちを繰り返します。
私は派遣社員は給料を貰っているので何も感じませんが、転職エージェント経由の求職者には同情します。
求職者の情報は筒抜けになっている?
転職エージェントと交わしたキャリアアドバイスの内容や個人情報は、筒抜けになっていると思っておいた方が良いです。
退職した本当の理由、転職したい本当の理由、過去の持病等は、面接では普通言わないですよね。
転職エージェントは、紹介者が早期退職したり問題を起こした際には、ペナルティを取られるため、求職者の懸念事項を事前に教えてくれることがあります。
上司「上司と揉めた正義の味方らしい」
私 「そんな人に教えるのは無理です」
転職エージェントは採用を断ってくる?
転職エージェントに限らず人材紹介の会社は、報酬の金額が合わないと紹介を断ることがあります。
転職エージェントや紹介派遣できた求職者の面接後、工場見学の対応をするのが私の仕事でした。
ある若手の求職者は未経験でしたが、うちの会社の雰囲気と合っており、将来は成長して活躍すると上司と話していましたが、期待して待っていると「報酬の面で折り合いがつかないから断られた」とのこと。
報酬の高いところに回した?
それは本人の意思なの?
転職エージェント等の中間業者を挟んでしまうと、求職者の意思とは関係なく、採用の合否が決まってしまう可能性があり、それを求職者が知る術はありません。
なぜなら、採用の合否は人材紹介会社と企業のやり取りで決まり、求職者に直接知らされないからです。
求職者は信用して祈るしかないですね・・・
転職エージェントは利用すべき?
利用して成功できる人がいるのは確かです。
自信があるなら利用しましょう。
利用するにあたり注意することは、自分はお客さんではなく商品だと認識しましょう。転職エージェントは自社の利益と、顧客の要求事項を満足させることを最優先します。
転職エージェントを利用して失敗することもあります。
失敗したからといって、転職エージェントを恨むのは筋違いです。
転職エージェントに最初から責任などありません
仕事を紹介してくれただけでも感謝すべきです。
自分の人生を、無料で他人に任すなら
何があっても文句を言う資格はない
そういうことです。
最後に 私の持論
ネットやCMの情報に踊らされて、安易に転職を選ばないでほしい。
仕事に悩んでいる状態なら、乗り越えたり回避する方法があるはずです。
ネガティブな悩みを解決させると見せかけて、転職を煽る情報に惑わされてはいけません。
どうしても転職するなら
自分の足を使って、自分で考えて直接応募するのを強くおススメします。
コネやツテを最大限に生かしましょう。涙と汗で培った人脈は、貴方だけが使える非公開求人です。
職務経歴書の書き方は1冊本を買えば十分です。職務経歴書の添削はハローワークの相談窓口でもやってくれます。
面接でマニュアルだけを頼りにしないで
背伸びなんかしないで
キャリアアップなんて言葉を最初から使わないで
まずは、自分が熱意を持って成果を上げた仕事を面接で堂々とアピールしてください。信念のある人の話は、面接官を観客にさせ、将来の姿を想像させます。
自分が誇れる仕事がないなら、余計なことは考えずに今の職場で歯を食いしばって頑張りましょうよ。
面接で真正面でぶつかって落ちたのなら、失敗ではありません。
その会社は合っていないのです。
転職の成功とは?
転職を成功させる効率の良い簡単な方法なんてありません。
また、転職の成功とは希望の会社に入社することではありません。
自分の能力を十分に発揮できる環境で成果を上げて、組織の一員として信頼されて、満足な報酬をもらう。それができて転職が成功したといえるでしょう。
私は何回も転職し、ブラック企業を巡って失敗を重ねました。
家族を路頭に迷わしたことがあります。
私と同じような思いをする人が、少しでも減ってくれれば幸いです。
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