「意識高い系」と「意識が高い人」の違い
「意識高い系」と「意識が高い人」は全くの別物である
意識が高い人
目標に向かって地道な努力を続けて成果を上げている人
信念を持って仕事に取組み、自己成長意欲も高く行動的な人材
まさに、人財です
夢に向かって確実に |
意識高い系
自分を着飾って実力が伴わない
自己評価が高く、地道な努力を嫌う人材
こいつらは本当に自分で仕事をしない
人災です
汗水流さずクールに生きようぜ |
「意識高い系」の特徴
- 「この会社は~」が口癖
- 自分から挨拶しない
- 先輩や若手を見下す、教えてもらうことを嫌がる
- カタカナ言葉で質問する
- 提案はするが、自ら実行しない
- 細かい雑用を嫌がる
- 根拠が不明の「ひとりでできます」
- 作業手順を変更する
- 教えてもらっていないことを勝手にする
- 指導を素直に聞かない
- イーブンの法則
私が教育を担当するのは中途採用者が初めて行うOJTである。現場での基本動作の習得、製品知識を教える。実際の業務を題材に適性を見極めて、研修後に適材適所の部門に配属させるまでが仕事だ。
「意識高い系」の傾向と対策
工場勤務の中途採用者の「意識高い系」には傾向がある。
未経験者で前職が営業もしくは販売であり、高学歴で大手企業の管理職だった人は高確率で「意識高い系」になる。
どこの会社でも同じだと思うのだが、新人に求めるのは、目の前にある課題に対して愚直に取り組む「素直で意欲のある人」でしかない。
私の会社の求人競争率は300倍である。今期は中途採用の募集で1500人の応募がきたが、本社の直雇用で正社員に採用されたのは3人だけだった。
工場勤務は契約社員からのスタートで窓口は広いが、社員になるには1年以上工場勤務に従事し昇進試験に合格する必要がある。合格率は10%で、離職率は40%、私は正社員になるまで足掛け3年以上掛かった。
自分の受け持った新人は誰一人脱落することもなく、立派に活躍してほしいと願っている。
それ故、本心では面倒くさいと思っている「意識高い系」の新人と向き合っていかねばならい。
1.「この会社は~」が口癖
このフレーズを頻繁に使う中途採用者は警戒することにしている。
これが全てに繋がるからだ。
外部の視点から会社を見ている。もちろんこれは間違った意識ではないが、入社当初の新人が考えることではない。OJTでは目の前の課題に汗水流して、技能や知識を早期習得する時期だ。
そんな大切な時期に、自分が会社の組織の一員になった自覚がない。まるでゲストやコンサルタントの様で当事者意識が希薄である。
2.自分から挨拶をしない
新しい環境で緊張していたり、メンバーの顔も覚えていないうちは仕方がないのだが、【意識高い系】は毎日顔を合わしている教育担当者にすら挨拶をしない。
こちらから挨拶をしてやっと小声で挨拶する程度だ。
「意識高い系」は前職のプライドを引きずっている為、くだらない理由で挨拶をしない。
- 自分が教えてもらう立場になるのが我慢できない
- 自分が相手を認めないと挨拶をしたくない
- 現場を軽視し、現場で働く従業員を見下している
現場では挨拶を重要視する。
現場では工作機が稼働して騒音も激しい。2人作業で声を合わせたり、危険を察知した場合は大声を出す必要がある。
意思疎通が図れない人は、他のメンバーにケガをさせる恐れがあるからだ。
3.上司や若手を見下す、教えてもらうことを嫌がる
OJT教育担当者(私)に「毎日、色々大変ですね~」とタメ口で話し掛けたり、説明の途中でも「わかった、わかった」と話を遮ってくる。
技術者は口が悪くプライドの高い人が多いが、気になったことは一切ない。しかし、「意識高い系」は嫌悪感がする。
教えてもらう人に敬意を払わず、人を選んでいる。その証拠に面接をした人事課長には敬語を使う
ぶっちゃけ、態度だけなら我慢できるのだが、教えてもらうのを嫌がるのは困る
<教育担当者に従事して最初の頃は扱いに悩んだ>
一昔前は怒鳴ったり殴るのが当たり前であったが、コンプライアンスの厳しい近年の大手企業では禁止されている。
私の目的は、研修課題を早く安全に習得させることだ。本人が気持ちよく仕事をして結果が出るならそれでよいと、相手の意思に合わせて寄り添うように教えていた。
・・・結果、失敗した
【意識高い系】の習熟度は例外なく遅い。早い人は4ヵ月で終わるのだが、期待されていた【意識高い系】は半年たっても課題が終わらない。
⇒教えられたことを素直に実行しないからだ
「なぜ、教えたとおりにしない」
「できないのなら、どうやったらできるか聞いてほしい」
「教えたとおりにできないから、別のやり方を考えるのはナンセンスだ」
「基本動作は訓練でしかない、体で覚えることが大事だ」
「私はこのやり方がいいです」
「必ずできるようにします。黙ってみていてください」
「自分で試行錯誤しないと身につきません」
【意識高い系】は教わる立場を極端に嫌う。
教えてもらえるのが、当たり前だと思っているのだろうか。
教えてもらえるのは今のうちだけなのだから、素直に聞いておけばよいのに。
モチベーションが下がってもしかたがないので、相手に任せて待っていたが・・何日も同じミスを繰り返して一向にできる気配がない。
やっと音を上げて、質問してきたと思ったら・・・
「このやり方間違っていますか?」
「最初から、違うと言っているだろ!」
作業方法は先駆者達が試行錯誤を繰り返し積み重ねたノウハウの塊だ。現状で最も安全で且つ効率が良いものとなっている。未経験者が0から構築するのは何年も掛かるだろう。
埒が明かないので適当なところで止めせる。これを数回繰り返すので研修が遅れるのだ。
【意識高い系】には寄り添ってはダメだ。
教育担当者は研修生を評価する立場で上司でもある。素直に指示に従わない場合は研修を中断させると警告した。
はぁ・・新卒の新入社員の方がよっぽど使い易い。
4.カタカナ語で質問する
前職で使用していた用語?をカタカナ語で質問する。こんなことも知ってるアピールもしくは、上司の知識を試しているかの様な言動を頻繁にしてくるのだ
「この会社のコンピテンシー評価の基準を教えてください」
「何それ?」
「コンピテンシー評価とは~云々」
「あー人事評価制度のことね。うちではMBOになるよ」
「・・・・・・」
これはクイズなのか?
最初から、うちの会社の人事評価制度は何かを聞けばよいのに回り道をさせる。自分はイライラしないのだろうか?
研修課題に関しての質問なら喜んで答えるのだが、『意識高い系』がしてくる質問は現場仕事に関係ない専門的なところだ。
上司の時間を使って質問している自覚がない。優先順位を付けて、わかりやすく伝える能力がないのかと心配になる。
- 時間が無い時は、他人に振る
- クイズに面倒な時、もしくは意味がわからない時は「私は君の様に頭が良くないから、わかりやすく説明してもらえるかな?」と答えると、喜んで解説してくれる
5.提案はするが、自ら実行しない
6.細かい雑用を嫌がる
細かい雑用とは掃除、材料の運搬、作業の前準備等の軽作業だ。細かい雑用を嫌がる新人は根本的に勘違いしている。
新人が他の従業員と同じレベルで組織に貢献できる仕事は、細かい雑用しかない。
新人は生産性が低い上に、教育には上司や先輩の時間を使っている。
新人が細かい雑用をしないと現場が回らなくなる。
また、新人は細かい雑用をしながら、仕事の全体像を学ぶことができる。
どちらにとっても都合が良いのだ
それだけではない。他の従業員は新人が雑用する様子をよく見ており、汗水流して前向きに取り組む姿勢を見せていれば高評価を得られる。
「あの頑張ってた新人さん、うちの配属を押しといてよ」
細かい雑用を意欲的にする新人は配属前にスカウトがくる。「素直で意欲的な新人」はどの部門でも受け入れたいからだ。
優秀かどうかは掃除をさせるとよくわかる。通路の床面掃除を「お客様が見学に来ても気分を悪くしないレベルで綺麗にすること」「4時間できるところまでとする」と指示してみる。
大概はモップ拭きで、大きな汚れは残こしたままで時間終了となるが、優秀な新人は床に這いつくばってタワシで床面を擦り、掃除の前後が明確にわかる程にピカピカにする。
優秀な人は時間では無くて成果を重要視しており、掃除している姿はゲームのように楽しそうだ。研修が終わって大活躍するのは100%このタイプの新人だった。
「意識高い系」は無駄な提案は大好きだが、細かい雑用を嫌がり徹底的に避けてくる
「他に大事なことがあるじゃないですか?」
「私は別のことをしてもいいですか?」
何の権限があって意見をするのか知らないが、「掃除も大切な仕事だ」と説明しても理解しない。なんせ自分は特別だと思っているからだ。
かといって「部長からの指示です」と言おうものなら、教育担当者の指示を聞かなくなる。業務命令とすると「部長と掛け合ってきます」と言い出す。
7.根拠が不明の「ひとりできます」
【意識高い系】は「ひとりでできます」と頻繁に言ってくる。研修中は教育担当者のWチェックが必要だと説明しても理解してくれない。
8.作業手順を変更する
作業や手順は意味がある。
ルールを守らない人は現場で作業をさせることはできない。
ルール違反は厳しく叱責することにしている。
彼らは自分勝手な判断で、効率が悪いと思うと手順を飛ばしたり入れ替えてくる。それは安全、品質に大きく影響するミス防止の確認作業だ。
作業方法や作業手順は過去のノウハウを集約させたものである。また、各作業内容には理由があり、安全衛生、QMS、EMS、ISO承認、加工単価に紐づいている。
・ルールを守れるまで何回も指導する
9.教えてもらっていないことを勝手にする
指示したことをやらないのはまだ許せるが、教えてないことをするのはタブーである。特に機械系や設備を勝手にいじると、自分のみならず、他人をも巻き込んだ重大災害を引き起こす可能性がある。
現場は教えてないことを勝手されるのを一番嫌う。
状況確認のために生産が一時止まることもあり、原因究明と対策書を提出する羽目になるのだ。
製造経験者は、教えてもらっていない事には手を出さない。
未経験者は他の先輩社員がやっているのを見て真似をしようとする。
「見て覚えるのは大事だが、やるのは許可がいる」と説明すると大概はわかってくれるが、【意識高い系】は「教わらなくても、できるのが偉い」?の感覚が治らない。
10.指導を素直に聞かない「それはわかるんですが」「まず聞いて、私の話を聞いて」「私の経験からこれは間違いないんです」
やらかし続けた【意識高い系】がミスを起こした時によく口にする言い訳だ。
ミスを連発させて、現場を混乱させる。そして、彼らは絶対に謝らない
「以前の会社ではこうでした」
「私はこれで成功してきました」
➡持論や前職の成功事例など求めていない
「ミスを素直に認めて、次にミスをしない方法を考えて下さい」
ある大手代理店の店長だった人は
「この会社ではミスが起こるのは当然だ」
「私はこの会社を変えるためにきました」
流石に私がブチ切れて「これ以上の研修続行は無理ですね」と伝えると、「部長や人事課に抗議をする!あなたは教育者に不適切だ!」と勇んで出て行ったが、もう2度と会うことは無かった。
部長からは「迷惑かけてすまない。今度のは当たりだと思ったんだけどな~」と慰めの言葉を頂戴した。
②ミスに至った要因を分析させる
③再発防止対策を守らせる
④上記のやり取りを記録する
※訴えられた時、教育者の身を守る証拠にもなる
11.イーブンの法則
私の指導が増えてくると、【意識高い系】はライバル心を剝き出しにする。
自分のした行動を振り返り、至らなかった点を客観的に見つめ直し反省する。
そんな謙虚な心はないのだろうか。
【意識高い系】は自分が受けた指導?屈辱?をやり返すのに必死になる
私はこれを【意識高い系】イーブンの法則と呼んでいる
<例>
会議を中断させる
チームで会議をすると、やたらと批判意見を出してくる
「あれはダメ~~」
内容は的外れではないのだが、今は予算的にマンパワー的にできないところで、現状できる範囲内での改善をすすめている。
具体的な案を出してくれたら検討もできるのだが、「どうして誰もやらない」とコンサルタントの視点でリーダー批判を意見してくるから答えようがない。
会議を中断してこれまでの経緯を説明したり、後で時間を取って教えたりするのが面倒だった。
ミスを大げさに批判する
私の指示ミスがあった際、ことさら大げさにまくし立てた
「待機の指示があったので、ずっと待ってました。時間の無駄でしたよ!」
他人を評価したがる
「上司や先輩を評価できる制度を作ってほしい」
<最初、行動原理が分からなかった>
傷つけられたプライドは、やり返してイーブンにしないと気が収まらないようだ。
ライバル心は良いと思う。ただし、その熱意は別のところに向けてほしい
【意識高い系】から脱却、意識高い人材に育成するのには?
私は【意識高い系】で将来活躍した人をみたことがない。
しかし、あきらめてはいけない
成果の出せる人材を育成するのは、教育者の務めです。
試行錯誤の中、改善を促す効果があった教育方法は以下のとおりです。
「意識高い系」の育成方法
許容を超えるタスクを与える
とにかく仕事をさせまくる。余計なことを考えさせる暇を与えない。
小さな成果を褒めて、地道な努力の積み重ねが大事だと気付いてもらう。
ミスをさせて恥をかかせる
教育担当者が責任を取れる範疇でミスをさせて恥をかかせる。
無駄なプライドをへし折り、いちから出直して頑張るしかないと諦めさせる。
放置はしない。とことん付き合う
質問や相談があれば丁寧に対応する。
上手く表現できないが、信頼関係を構築することを怠らない。
「そこに愛があるんか」は相手に伝わる。
最後に
「他にやりたいことが見つかりました。私はやっぱり営業が向いてます。」
「そうですか、頑張って下さいね」
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