昭和のスポーツクライミングと鍵っ子について

2022/05/20

昭和探偵団

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スポーツクライミングとは?

<スポーツクライミングの説明>

私は2020年東京オリンピックで開催都市提案の追加種目になるまで存在を知らなかった。

小さい頃、野山の崖を競争しながらかけ登った経験がある方は多いのではないでしょうか。スポーツクライミングは、その競技性を極限まで高めたスポーツで、選手は垂直にそり立つ壁をカラフルなホールドを使って道具を持たずに自身の体一つで登ります。

2020年東京オリンピックでは野中生萌さんが銀メダル、野口啓代さんが銅メダル等を獲得しており、日本勢が強い競技であることがわかる。スポーツクライミングの日本選手の活躍を観ていると、昔のある風景を思い出した。

昭和40年代以降~団地の建設が盛んに行われた

昭和40年代以降、高度経済成長期にあわせて団地の建設が盛んに行われた。郊外には生活関連施設(教育機関、金融機関、店舗等)が併設され、電化製品の三種の神器(テレビ・洗濯機・冷蔵庫)を揃えて流し台、浴室に水洗トイレが設置されるなど、生活の利便性と子育ての安全性から団地を希望する家庭が爆発的に増加した。

憧れの団地住まいであったが、良いことばかりではなかった

<核家族化の増加>

団地の間取りは1世帯(夫婦・子供)を対象にしているため、3世代同居(祖父母と一緒)の大家族世帯が減少した。

<カギっ子の増加>

高度成長期に女性の社会進出が盛んになり両親が共働きの家族が増えた。また、核家族化で祖父母がなくなり、子供が学校から帰宅しても家に両親がおらず、自分で鍵を持参するカギっ子が激増した。

私も団地住まいでカギっ子であった

両親は共働きで鍵を持たされていた。

昔はゲームやYouTubeも無く子供は外に遊びに行くしかなかったが、高学年の子供は同じ団地の低学年の面倒をよく見ており、ガキ大将を中心にした子供同士のコミュニティが盛んで、寂しさなどは感じなかった。

カギっ子はその名の通り鍵を携帯しているのだが、隠し持っているわけではない。落とさない様に体や持ち物に紐で括り付けており、色々なパターンがあった。

カギっ子の鍵携帯3パターン

(1)ズボンのポケットに括り付ける

(2)ランドセル、カバン等に括り付ける

(3)鍵を首に紐でぶら下げる

危険なトラブルが発生したのが、鍵を首に紐でぶら下げる子供達である。

鍵を首にぶら下げるちびっ子達が経験したトラブル事例

 危険レベル1 

例1:ドッチボールを至近距離で受け止める

カギが胸に刺さり、痛さで崩れ落ちる


例2:ツッコミされると危険

「大阪城建てた人は誰?」

「豊臣秀吉やろ」

「ちゃうわ!大工さんや」

「なんでやねん!」と胸を叩かれると

カギが胸と心に刺さり悶絶する

ボケタイプがツッコミを封印されると関西では死活を意味する。ボケタイプは紐を長くして腹あたりにしていた

 危険レベル2 

カギが見えなくなって危険

鍵紐が背中に回って鍵が見えなくなると鍵を落としたと勘違いする。友達も手伝って周囲を大捜索するが、探している最中に首に掛かっているを友達が見つけて、「鍵は背中にあるやんけ 馬鹿じゃないの?」とマジ切れされる

 危険レベルMAX 

カギを忘れる=家に帰れない

①体育の授業で外したまま付けるのを忘れる

②首にぶら下げたつもりで家に忘れてきた

危険度レベルMAXはかなり辛い。

家に入れないので辺りを徘徊するが、冬は寒い 夏は暑い 腹は減るし、喉は乾く。歩き回る気力も無くなり、薄暗くなった階段で両親が帰るまで玄関でうずくまる。

普通はこうなるのだが・・・・

昭和のちびっ子はそんなことしないぜ!

昭和のちびっ子図解


団地の子供は鍵を忘れても

排水管や窓柵をクライミングして、ベランダの窓から部屋に入っていた!

昭和ちびっ子達の団地クライミング

「あっ、家の鍵忘た。いってくるわ」

そういうノリである

高さ10メートル以上の団地の5階に住んでいるちびっ子がクライミングしていると、多少のギャラリーは集まるが、特に珍しいことではなかった。

*昭和のクライミングは危険度が高い
  • 安全確保のロープなんか装着しないし安全帯も付けない
  • 素手と裸足で登っており、必要なのは根性と気合だけ
  • 勝利への執念というより、落ちたら命を失うので「必死」

命懸けのクライミングをした後で、鍵紐が背中に回っていたり、ベランダが戸締りされていることに気付いた時の焦燥感は半端ない。

現代で子供が団地クライミングをしているのを見たら親は卒倒するだろう。昭和の子供がたくましかったとはいえ、遊びでやっていたわけではない。団地で鍵っ子という状況下で必然的に起こってしまったことだ。

温故創新

令和2年版の厚生労働書によれば、平成の30年間で共働きの家庭は1.6倍増加し、共働きの割合は、1989年頃は42.3%であったものが、2019年には66.2%にまで増加した。昔と違うことは、カギっ子は情操教育、社会教育の機会を失わせるもので児童教育の危機であると捉えられたことだ。

核家族と少子高齢化で、子供の面倒を見てくれる年寄りやガキ大将が減少したことが大きな要因であると思う。低学年のカギっ子は学童保育で学校に預けるケースも増えて行った。これは不幸なことだと思う。

最近は目に見えてカギをぶら下げている子供や、カギを忘れて家までよじ登る子供を見なくなった。団地も高層化や建て替えが進み、安全対策からキーカードやキーロック等の色々な方法が増えたことや、子供の携帯電話保持率が高くなり、何かあったら親に連絡できるようになったことも大きな要因であると思う。これは昔よりも改善された良い点だ。

顔承認や音声承認等の技術が進歩すれば、子供が鍵を持参する煩わしさから解放されるであろうが、根本的な解決にはならない。今は共働きが当たり前で、母親がフルタイムで働いても生活が苦しい家庭が多く、兄弟のいない子も多い。

少子高齢化で地域の小学校が合併して母校の小学校が廃校になるケースが増えている。それなら、廃校になった学校を学童保育所にして、高齢者を採用し、家に帰っても両親のいない子を対象に宿題を見てあげたり、技術・文化の継承をしてもらったらどうだろうか?

私の会社も定年が65歳になったが、少子高齢化で年金受給は厳しくなる一方だ。定年後に働きにいくなら、将来ある子どもの為に何かしてあげたい。そんな制度を国が作って欲しい。

まとめ

クライミングはスポーツとして親子で一緒に仲良く楽しんでほしい。


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