サラリーマンの勝ち組とは何か?
私は40代まで「よい会社で出世して高収入」がサラリーマンの勝ち組だと思っていました。
同族経営、低賃金、重労働の中小ブラック企業の底辺負け組から、よりよい職場を求めて転職を繰り返し、40代で念願の一流企業に入社。
これまで遠回りした分、勝ち組になる為に出世を目指して必死に働いてきましたが、50代手前になって「よい会社で出世して高収入」だけが勝ち組の条件では無いと感じるようになりました。
ドイツ初代宰相のビスマルクは、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と語ったそうです。本来の意味はよくわかりませんが、昔よく見ていた時代劇「水戸黄門」の中に私の求めている答えがありました。
交代する工場長
私の働いている会社は大手製造メーカーで、日本に生産拠点となる工場が20以上あり、中国、ヨーロッパにも工場がある。
工場長は本社からの出向で3年に1回の割合で入れ替わる。
工場長が交代すると、各部門長が一新され組織が再構築される。
上層部が丸ごと入れ替わる理由は、新しく赴任した工場長が自分の手足となる生産部長、品質部長、営業部長を一緒に連れてくるので、在職していた各部門長は他工場へ移動となるからだ。
歴代の工場長は「現場の3S(整理・整頓・清潔)巡回」をする
就任直後の工場長は視察も兼ねて工場内を周り、現場に3S改善の指示出すのが習慣となっている。今度の工場長はお供の部長を大勢引き連れ、各部門をゾロゾロ巡回していた。
現場把握をして3Sを指摘するのは良いことだとは思う。
しかし、今度の工場長は回数が多い。1回/1ヶ月で頻繁に巡回されると、指摘事項が次第に細かくなってくる。
・在庫の数量が適切でない
・床にひび割れているところがある
・設備の汚れ、作用場の見栄えが悪い
このような指摘事項が毎月10件以上出てくるのだ
回数を重ねられて指摘されるところは、設備の改善、生産計画の根本的な見直しが必要になってくるところで、費用も時間も掛かるところである。
おまけに巡回後の課題は各部門の掲示板に張り出されるので、1か月後の次の巡回まで課題をクリアしなければならない。
製造現場で仕事をやりながら改善活動をするのは難しい。従業員は残業をして指摘事項の改善をしなければならないが、働き方改革で残業時間を規制されているため、課題のやり残しは私のような末端の中間管理職にシワ寄せがくる。
床の補修や古い設備の部品交換等で発生する高額な予算はすぐには下りないので、廃材やプラボードの手作りでの応急処置となってしまう。そんな状況の中、一生懸命に作った手作りの補強も「見栄えが悪いと」指摘を受けるとモチベーションは一気にダダ下がりとなるのだ。
TOPの工場巡回はよいが、間隔を空けてほしい。3Sについては年間計画表を出しているのに、横槍を入れられて中途半端に時間を割かれるのは現場も会社も良いことではない。
要求事項は次第にエスカレートする
新任の部長が工場内のルール変更の通知を急に出した。
⇒倉庫内の段積みを制限する
TVのニュース報道で、どこかの会社の倉庫で荷崩れがあって死傷者がでたのが理由とのこと。倉庫は限られているので、在庫数の削減は生産計画の見直が必要になる。
思い付きの様な決定を下されて現場がとうとう激怒した
⇒①新任の部長が突然に工場内ルールを変更
⇒②各部門で抗議の声が上がる
⇒③各部門が工場長に直談判
⇒④新任の部長が各部門に平謝り
⇒⑤一時撤回と段階的な対策の検討
おそらく新しい工場長の指示である。現場に直接言いにくいことを部下に言わせて、現場の反応を見ているのだろう。
サラリーマンとは実に悲しい生き物である。
この①~⑤の流れは度々発生するので、新しい工場長が来てからの形式美になっている。
前任の工場長は偉大な人であった
前任の工場長は本社の超エリートで、課題には率先して先頭に立ち、無理と思える目標を次々と達成していった。赤字だった工場を立て直して3年間で大幅黒字まで持っていく手腕は凄まじかった。
前任の工場長も巡回はしたが3ヵ月に1回で、巡回時もテーマが決まっていた。現場と直接会話して意見も聞いてくれたし、必要性があるなら予算も付けてくれた。
また、超エリートでありながら気さくな人だった。300人以上の従業員がいる中、私の様な末端管理職の名前を覚えてくれて、帰宅時に駅で会うと、工場長から「一緒に帰ろう」と声を掛けてくれてアドバイスもしてくれた。
「目標は大きく持つべきだ。小さい目標だと小手先で終わって何も変わらない。大きい目標は自分も周りも変えなければできない。」
前任の工場長からのアドバイスは今も大切にしている。ビジネス書で出てくるような真のリーダーの言葉は胸に響いた。
新しい工場長は、前任者よりも大きな成果を出そうと色々仕掛けているように感じる。それが会社の為、従業員の為になるのならよいのだが・・・
真の勝ち組を歴史から学ぶ
私は子供の頃、時代劇が好きだった。
理由は勧善懲悪でわかりやすく、悪人を成敗して終わるので爽快な気分になれるからだ。
子供の頃に好きだった「水戸黄門」を大人になって思い出すと、今では別の穿った見方をしてしまう。
水戸黄門はお供と一緒に全国を巡って悪代官を成敗する
まずは、全国を巡り過ぎだろう。
そんなことは専門職の飛猿やお銀に任せておいて、天下の副将軍だったら、副将軍でしか出来ない仕事に専念すればいい。
全国に悪代官がいくらなんでも多すぎやしないだろうか。政治が賄賂だらけで腐敗し、もはや正常に機能していないのでは?
悪代官は「懲らしめてやりなさい」でこっぴどく痛めつけて、最後は「お家取り壊し、切腹の沙汰があると思え」とバッサリ。
何故そのような行為に至ったかの原因を調査して、幕府の統治システムの抜本的な見直をすべきだ。水戸黄門はそれが本来の仕事のはずだ。
そうしないと結局は悪人が代わるだけで同じことになる。
更に反省の弁明は一切受け付けないなら、その場でズバッとしてやれよ。
最初から印籠を見せておけば万事解決するんじゃない?助さん、角さんを無駄な危険にさらしてない?いくら二人が強いといっても万が一のことがあったら何と言い逃れするの?
「懲らしめろと言っただけで、切り合いをしろと言ってません。あいつらが勝手にやりました。」とでも言うのか。
悪代官だけではなく家来もこっぴどく成敗しているが、家来は上司の指示に従ってるだけだ。家来には家族もいるし、生活のために不本意ながらしぶしぶ戦っている人もいるだろうに。
痛めつけられるわ、路頭に迷うわでは幕府に反感を抱く侍が出てもおかしくはない。負の連鎖をさせる無駄な戦いだ。
水戸黄門の背景を考察してみる
水戸黄門の主題歌は歴代の助さんが歌っている。助さんはよく代わる。
実は助さん、角さんは名前ではなく役職名であり、万が一があってこっそり入れ替わってるのではなかろうか。助さんは刀を扱うだけに角さんよりも危険度が高いのだろう。
人生楽ありゃ 苦もあるさ~♪
悲運な助さんの叫びがこだまする。
サラリーマンの真の勝ち組とは?
水戸黄門で唯一代わらないのは『うっかり八兵衛』だけです。
『うっかり八兵衛』は水戸黄門の世話役に徹し、好きな団子を食って旅を楽しんでいます。戦闘や隠密行動をしないため賃金は安いと思われますが、自分の地位を確立しており、ワークライフバランスを充実させていると言えるでしょう。
一流企業のサラリーマンが勝ち組になるには転勤が必須で、行く先々で大きな成果を求められます。運良く勝ち組になれたとしても、過度なストレスと重責の中、少しでも挫けた者は、あっという間に追い越され、地方の部署に泣く泣く追いやれる「負け組」運命が待っているのです。
現代社会においても『うっかり八兵衛』のように、代えの効かないホジションをキープして、楽しく働けている人が真の勝ち組であるといえるのではないでしょうか。
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